くう、ねる、それと。

「先生って、けっこう食べますよね」
 ごくん、と谷地は咀嚼していたシュウマイを飲み込んだ。
「そうか?」
「身長は高いけど、その。あんまりお肉ついてないじゃないですか」
「……そんなに痩せてはいないだろ」
「そうかなあ」
「んん……」
 しばらくの沈黙。谷地は食事のときに自分からテレビをつけない。大抵の場合、二重が何か見たいものがあるときにつけている。今日はそれが特になかったせいか、不意の沈黙がやけに静かっだった。
「て、いうより、前より食べるようになりました?」
「……あぁ…」
 そうかもしれない、と谷地は呟いた。
 三食しっかり食べるようになった。食に興味がなかったわけではない、と思うのだが、それでも忙しいときは平然と食事を抜いていたし、それを省みることはなかった。いちばんの原因としては、二重が食事をきちんと取ることにこだわる人間だったというのが大きいのは確実であったのだが。
「……昔は」
「え?」
 空になった茶碗と箸を置く。お茶を一口飲んでから、谷地がゆっくりと口を開いた。
「好きじゃなかったんだ、食べるのも、眠るのも、……セックスをするのも」
 まるで微睡んでいるような瞳で、谷地は二重を見ていた。どろり、と音がしそうな視線に二重は釘付けになる。そう見られるのは嫌いじゃないが、緊張する。
「……お前とするのは、好きだよ。今は」
 よく見ないと分からないくらい微かに、口角が上がった。笑っているのだ、彼は。
「そう、ですか……」
 せっかく今日は魚がうまく焼けたのに。
(味がわかんなくなった……)


だいぶ仲いい